新たな出発点 MONGOL800


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
15周年ツアー最終公演で演奏するMONGOL800の(左から)儀間崇、髙里悟、上江洌清作=15日、宜野湾海浜公園屋外劇場

 15年、節目は新たな出発点となる。MONGOL800の15周年ツアー最終公演が15日、宜野湾海浜公園屋外劇場であった。上江洌清作(ベース、ボーカル)、儀間崇(ギター、コーラス)、髙里悟(ドラム、コーラス)。浦添の高校生3人組が日本のロック史を塗り替えるまでの軌跡を振り返るように、数々の曲を奏でた。

さらにハッピーな物語をファンと共に紡いでいくことを、会場を彩る4000人(主催者発表)の来場者、ライブビューイングを視聴した全国54映画館のファンに誓った。
 幕開けは15年前、初アルバムの1曲目に収録した「DON’T WORRY BE HAPPY」。さらに最新アルバムの表題曲「GOOD MORNING OKINAWA」などを立て続けに演奏。「FattySilver」はタカシの渋いボーカルがさえる。
 キヨサクが「指笛の多さに、あらためて沖縄に帰ってきたんだと感じる」と語ると、会場を嵐のように指笛が乱れ飛ぶ。サトシが来場者に「寒い中、ありがとう」と呼び掛けると、タカシも「15年やってこれたのはみんなのおかげです」と叫び、歓声が沸き起こる。キヨサクは「これからもヨンナー、モンパチのマイペースで頑張ります」と宣言し「小さな恋のうた」になだれ込む。
 中盤は「スコール」などをしっとりと聞かせ、社会状況を鋭い視線で見据えた歌詞が響く「神様」「矛盾の上に咲く花」などを歌う。「こいのうた」で、よなは徹(三線、笛)と栄口青年会のエイサーが登場。華やかな共演で「琉球愛歌」も奏でる。最後の「あなたに」はステージ上部から金銀のテープが放たれ、エネルギー全開で締める。
 アンコールで再登場した3人は「夢叶う」「true hearts」で応え、独自色あふれるカバー曲「What a Wonderful World」で10月開催予定のモンパチフェスでの再会をファンと約束した。
 明るさにあふれ、時に風刺を効かせた楽曲。キヨサクの低音をタカシ、サトシの高音が包み込むコーラスワーク。沖縄に根ざし、等身大であることにぶれなかった活動の軌跡。そして3人を支えたファンを、節目の夜に浮かぶ満月が静かに照らしていた。(宮城隆尋)