嘉手納PCB汚染隠蔽 87年、米軍内部文書で発覚


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 1986年に米空軍嘉手納基地で変圧器から有害なPCBを含む油が漏れ出た事故に関連し、米軍は翌87年の調査で事故現場周辺の土壌から基準値を大幅に上回る有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)が検出されたにもかかわらず、日本側に伝えず、除染作業もしていなかったことが米軍の内部文書で明らかになった。

 英字紙ジャパンタイムズ電子版が18日に報じた。汚染土壌のPCB濃度は当時の米国の環境基準25(現在は3)ppmを大幅に上回る5535ppmだった。
 事故が起きたのは86年11月。嘉手納基地内の野外貯蔵場にある変圧器から76リットルの油が漏れ、土壌が汚染された。この事故は6年後の92年、市民団体「太平洋軍備撤廃運動(PCDS)」が関連資料を入手し公表したことで明るみに出た。
 同紙が報じた内部文書によると、漏れ出た油のPCB濃度は約214ppm。事故から約4カ月後の87年3月調査で土壌から2290ppm、10月には5535ppmと、非常に高い値が出ていた。
 米軍の調査報告書は「事故にかかわらずこの場所のPCB値が高かった可能性がある」と貯蔵場は事故以前から汚染が蓄積していたと指摘している。
 汚染を公表すると、全基地の詳細調査を求める声が上がる可能性や、翌88年の県議選で米軍駐留を支持する西銘順治県知事(当時)はじめ保守陣営へ影響が及ぶと懸念していた。
 記事を書いたジョン・ミッチェル氏は現在も汚染が残っている可能性を指摘している。