東北支援 息長く 藤原さん、物産販売で復興へ汗


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仙台市のアンテナショップで被災地産の加工品を売り、復興につなげる藤原奈央子さん=2月24日、宮城県

 阪神・淡路大震災を経験し、沖縄に11年住んでいた藤原奈央子さん(33)=兵庫県神戸市出身=が、2013年から宮城県仙台市内で、同県各地の特産品を中心に加工・販売するアンテナショップの店長として東日本大震災の被災地の生産者支援に取り組んでいる。「売り手と買い手をつなぐことが復興につながる」と意気込んでいる。

 藤原さんは中学2年生の時に神戸で被災、火事で自宅が全焼し避難所で1カ月間暮らした経験を持つ。20歳で沖縄に移住し、道の駅いとまんで特産品を販売した。自身の避難生活の時に全国から多くの支援を受けたことから、東日本大震災後は、道の駅でチャリティーライブなどを企画し、周囲と協力して被災地支援に奔走した。
 しかし、震災直後は大きな注目を集めた被災地への関心も、徐々に薄れていったと感じていた藤原さん。継続した支援の在り方を模索していた時、糸満市に視察に訪れていた6次産業を手掛ける企業ファミリア(宮城県)の島田昌幸社長と出会い、その言葉が胸に響いた。「慈善や奉仕は続かない。いいものを売って買ってもらうビジネスが必要だ」。
 感銘を受けた藤原さんは、沖縄で得た販売の経験を生かそうと昨年4月に仙台市に渡り、同社が仙台市内で展開しているアンテナショップで働くことを決めた。
 訪れた被災地は、生活再建に動きだした被災者がいる一方、いまだ立ち直れず動きだせない人もおり、その差を目の当たりにした。「神戸の時と似ている」と実感した。藤原さんは「まずは動き始めた生産者を応援することが全体的な支援につながる」と、ビジネスを通じた生産者支援への決意を新たにしたという。
 藤原さんは「復興に向けて求められている支援の形も変わっている。雇用や産業など、継続的な支援が必要だ」と話した。(田吹遥子)