元基地従業員遺族と国和解 石綿訴訟、県内2例目


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 沖縄の本土復帰前後に在沖米軍基地に勤務し、アスベスト(石綿)を吸引したことが要因で肺疾患を発症し亡くなったとして、元基地従業員の男性の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟で27日、遺族と国が那覇地裁沖縄支部から示された和解案に合意した。

遺族に合計1875万円を支払う。県内で同様の訴訟で国と遺族の和解が成立したのは2例目。
 訴状などによると男性は1961年に米軍に採用され、75年9月に退職するまで、県内各地の米軍基地内で冷蔵や空調の設備の検査と故障修理を担当していた。ダクト清掃やパイプの補修のために断熱材を剥ぎ取る作業を続け、石綿の粉じんにさらされた。男性は2010年に肺疾患により死亡した。
 国はこれまで、復帰前の損害賠償の責任については米国が負うと主張してきた。和解では、国が安全配慮義務違反の責任を負う期間は、国と男性の雇用関係が生じた72年5月15日から退職した75年9月までの約3年4カ月とされた。判例で目安とされていた5年に達していないため、一部が減額された。
英文へ→Asbestos victim’s lawsuit: government to pay 18.75 million yen to family of Okinawan worker on U.S. military base