虫よけヤマクニブーでお香 谷口さん、沖縄で講習会


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「ヤマクニブー」を使った匂い袋などを開発し、沖縄観光にもつなげたいと話す谷口幸子さん=琉球新報東京支社

 【東京】沖縄で古くから衣服の虫よけに利用されてきた香り草「ヤマクニブー(山九年母、和名モロコシソウ)」を現代のお香として活用しようと、東京在住の谷口幸子(ゆきこ)さん(金秀本社執行役員専務)が商品開発などに取り組んでいる。

6月には香のインストラクターでつくる「蘭奢(らんじゃ)の会」約30人が沖縄を訪ね、ヤマクニブーを使った匂い袋の講習会を本部町で開く。谷口さんは「沖縄の人には懐かしい香りだが、香を学ぶ人にとっても魅力的だと分かった。自然の香りを沖縄観光にも結び付けたい」と話した。
 ヤマクニブーはサクラソウ科で、蒸して乾燥させると独特の甘くスパイシーな香りがある。琉球王国の女官に愛され、現在も防虫・芳香効果があるとして市場で売られているが、生産者は年々減っている。
 東京で香を習っていた谷口さんがヤマクニブーを示すと、お香の原料にもなる希少な「零陵香」と似ていると指摘された。谷口さんはさっそく本部町でヤマクニブーを蒸して市場に出している93歳の古堅千枝さんと娘の康子さんを訪ね、途絶えつつあるヤマクニブーの保存に乗り出した。
 谷口さんの働き掛けで、蘭奢の会が継承の手伝いをしたいと沖縄を訪れ、古堅さんの作業を見学するほか、6月22日に本部町立中央公民館で一般向けに無料で講習会を開く。谷口さんは「ヤマクニブーを蒸す作業ができるのも2軒ほどしかないと聞いている。このままでは失われてしまう香りを活用する形で残したい」と話す。
 講習会などの問い合わせはオフィスユキコinfo@purem.jp(島洋子)