いまだに男女別? 県内小中高校での混合名簿進まず


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 学校の出席簿を性別で分けない名簿「男女混合名簿」を1学年だけでも取り入れている県内の小中高の学校は、昨年9月の県教育庁の調べで、小学校268校中22校(8・2%)、中学校は150校中16校(10・7%)、高校は59校中19校(32・2%)にとどまっていることが分かった。

全国では2013年度で小学校83・2%、中学64・3%、高校では82%の学校で取り入れられているが、県内では進んでいない。
 06年の県内導入率は小学校10・8%、中学校8・3%、高校24・6%で、大きな伸びはない。
 全国では男女共同参画社会基本法が公布された1999年ごろから五十音順の混合名簿を取り入れる学校が増え始めた。県内で自治体として全幼稚園・小中学校で導入しているのは、西原町のみで、他は学校独自で取り組んでいたり、クラス担任が1クラスだけ取り組んでいたりしている。
 導入が進まない理由について、教諭らからは「男女別名簿に慣れている」「男女別に報告する身体測定の結果など、事務作業が増える」などの声がある。
 導入している学校や市町村の内訳をみると、クラス全体を把握しやすい小規模校や、高校では商業や工業といった実業高校に多い。
 県教育庁は混合名簿について「各学校長の裁量に任せる」としている。
 ジェンダー問題を考える会の安次嶺美代子代表は、女子差別撤廃条約の差別の定義は「合理的理由のない区別は、差別である」としていることに触れ、「差別や人権を考える手段として、学校内で議論から始めてほしい」と話している。
 県教育庁の調べは、1学年でも採用していれば「採用校」として数えているが、日本教職員組合の調べによる全国の導入率は、全校で実施している学校をカウントしている。
(知花亜美)

男女混合名簿の採用状況(※一学年でも採用していれば「採用校」としてカウント。県教育庁調べ)
男女混合名簿の採用状況(※一学年でも採用していれば「採用校」としてカウント。県教育庁調べ)
男女混合名簿の採用状況(※一学年でも採用していれば「採用校」としてカウント。県教育庁調べ)