基地騒音の指標変更 防衛省が検討 防音助成、縮小懸念も


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 【東京】米軍基地周辺などの住宅防音工事の助成にかかる航空機騒音値の指標が、従来のうるささ指数(WECPNL=W値)からエルデン(時間帯補正等価騒音レベル、Lden)に変更され、防衛省が基地周辺における騒音コンターの見直し調査に向け検討を始めていることが3日、明らかになった。

衆院安全保障委員会で同省が照屋寛徳衆院議員に答えた。
 米軍普天間基地や嘉手納基地周辺などでは、W値75以上が住宅防音工事の助成対象となっている。環境省によると地上の騒音を含めた騒音総暴露量を相対的に評価するエルデンが国際的な主流になっていることなどから、国は昨年度から航空機騒音の評価指標をエルデンに変更している。
 同委員会で防衛省側は調査内容や手法などを検討していることを明らかにした。照屋氏は「周辺住民は住宅防音工事対象区域の縮小を懸念している」と指摘した。これに対し、小野寺五典防衛相は「調査をしていない現時点で拡大、縮小の見通しを述べることは困難だが、実態を踏まえ適切に対応したい」と述べた。
 一方、嘉手納爆音訴訟団の関係者からは、騒音被害の過小評価を懸念する声が上がる。第3次嘉手納爆音訴訟団の平良真知事務局長は「対象縮小のような政治的な意図を排除し、客観的、公明正大に調査するべきだ」とし、対象区域の拡大を求めた。同訴訟の弁護団で、騒音暴露調査を担当する城間博弁護士は「個人的な見解」とした上で、「嘉手納のように日々の騒音発生回数に大きな差がある飛行場では、住民の感じ方が過小評価される部分があるかもしれない」と話した。