牛用飼料の製造再開 県内、BSEから9年ぶり


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 国内で牛海綿状脳症(BSE)が発生した影響で中断していた県内での牛用飼料の製造が、4月から9年ぶりに再開された。県飼料協業組合(沖縄市、當山光行理事長)が月内にも出荷を開始する。

県外調達を余儀なくされていたが、輸送費が削減され、1トン当たり約千円軽減される。JAおきなわも4~9月まで飼料価格を1トン当たり千円助成し、農家の負担軽減を図る。
 牛や豚、鳥用の配合飼料は、以前は同じ製造ラインで作られていたが、国は2005年にBSEの拡散防止策として、牛用の製造ラインを独立させるよう義務付けた。以降、県内では鹿児島から加工済み飼料を移入してきた。原料の輸送費などにより、県内での製造コストは鹿児島に比べ3千円高くなるが、鹿児島からの既製品輸送費は1トン当たり4千円掛かっていたので、約千円削減できる。
 県飼料協業組合は、18日に製造工場の落成式を開く。総事業費は約19億円で、食肉生産基盤の改善などに充てられる県食肉価格安定基金を活用した。
 工場完成記念として、JAおきなわも飼料価格の支援を実施する。現在、JAの牛専用飼料の年間使用量は約2万トン。12年度末時点の県内の肥育農家は99農家、繁殖農家は2854農家ある。
 7日に那覇市のJA会館で会見したJAおきなわの砂川博紀理事長は「経営の5~7割を餌代が占めるが、円安などで飼料価格は高止まりしている。農家は厳しい状況にあるため、少しでも安くなるように支援を決定した」と語った。