著名作曲家結集、熱い舞台 沖縄ゲームタクト


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 ゲーム音楽の祭典「沖縄ゲームタクト」(琉球フィルハーモニー管弦楽団主催)が3月21、22の両日、浦添市てだこホールで開かれた。22日のスペシャル・ガラ・コンサートは琉球フィルハーモニックチェンバーオーケストラ“イオ”と、この日のために全国から集まったゲームタクトオーケストラが合同で演奏。後藤正樹が指揮した。

 同イベントの企画、制作、音楽監督を務めた作曲家・坂本英城の「ゲーム音楽を文化として後世に残したい」という志に賛同し、日本のゲーム音楽を牽引(けんいん)する作曲家たちが結集。メーカーの垣根を越え、往年の名作から近年のヒット作まで幅広いジャンルのゲーム音楽を演奏した、日本初の画期的なゲーム音楽フェス。演奏者の背後に広がるスクリーンにゲームの映像も投影され、来場者は次々と繰り広げられるゲームの世界に没入し、熱狂した。
 ガラ・コンサートは「オーバーチュア~オープニングタイトル(メドレー)」(伊藤賢治作曲)で幕を開く。ロールプレーイングゲーム「ロマンシング サ・ガ」シリーズの2005年に発表された作品「ミンストレルソング」の楽曲を、伊藤がオーケストラ用に編曲した。伊藤による「月英学園―Kou―」の「天地神人」は、成田勤が編曲。強力な敵との戦いをイメージさせる重厚なアレンジで聞かせた。
 「銃声とダイヤモンド」(いとうけいすけ作曲、編曲)、「ファイナルファンタジー11」の「Awakening」(谷岡久美作曲、松尾早人編曲)、岩垂徳行が作曲、編曲を手掛けた「グランディアのテーマ」なども壮大なアレンジで奏でる。
 「逆転裁判5 法廷組曲」は演奏の合間にオーケストラの奏者たちが立ち上がり、全員で「異議あり」と叫んで再び演奏に戻るというクラシックではありえない展開も聞かせる。
 中盤は霜月はるかも歌声を響かせるなど、アーティストが指揮や演奏で次々と登場し、会場を沸かせる。往年の名作「スペースハリアー」のメーンテーマ(Hiro作曲、スミイ酸編曲)を経て、セガの光吉猛修が登場すると拍手と歓声がわき起こる。レーシングゲーム「デイトナUSA」の「Let’s Go Away」を、大きなアクションとともに伸びやかな声で熱唱、来場者も体全体で曲に共鳴した。
 終盤は坂本英城が手掛けた「タイムトラベラーズ」の「ザ・ファイナル・タイム・トラベラー」をサラ・オレインが透き通る声で歌い、「討鬼伝」の「鬼討ツモノ」なども荘厳(そうごん)に奏でる。最後に「クロノ・トリガー」(光田康典作曲、亀岡夏海編曲)を演奏すると、会場の拍手が鳴りやまない。再び壇上に現れた坂本が「僕がゲーム音楽の作曲家という仕事をしようと、決定的に後押ししてくれた曲」と語り「ファイナルファンタジーV」のメーンテーマ(植松伸夫作曲、服部克久編曲)を演奏し、幕を下ろした。(宮城隆尋)