沖縄の民族性表現 伊禮彰宏が独演会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「きーぷぞー」を歌う伊禮豊彰宏(左)、徳原清文=3月16日、国立劇場おきなわ

 琉球音楽清風會の伊禮彰宏師範の独演会「伊禮彰宏の会 族」が3月16日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。琉球古典音楽、民謡、芝居などを通し「沖縄の音楽的民族性を表現する」というテーマ。分野を超えて沖縄の歌を追究する伊禮ならではの感性が光った。

 語り劇「識名坂(しちなんだ)ぬ遺念火(いにんび)」は、語り手に八木政男、役者に普久原明、高宮城実人、知花小百合を迎えた。地謡は伊禮と師匠の徳原清文(清風會會主)ら。高宮城と知花演じる夫婦が、侍(普久原)に引き裂かれる怪談物語。夫婦の純愛と悲劇を表現した。
 伊江島に伝わる民謡「きーぷぞー(木ぷぞ)」にも挑んだ。刻みたばこを入れる木箱(きーぷぞー)をたたきながら「テントゥンテン」と声で三線の音をまね、別の者は歌詞を歌う。伊禮と徳原は、伊江島民謡の第一人者・知念宗真を訪ねて指導を受けたという。三線の伴奏がないことで歌本来のダイナミックさ、おおらかさが際立った。
 航海の安全を祈る歌「旅御前風」(古謝弘子指導)や大湾三瑠を迎えた古典女踊「本嘉手久節」なども披露された。

※注:伊禮はネヘン
※注:高宮城実人の「高」は旧漢字