初のうちなーぐち劇 演劇集団創造


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創造の演劇について語る(右から)幸喜良秀、大城貞俊、由井晶子、崎山律子=3月27日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 演劇集団創造は20、29の両日、新作「でいご村から」を上演する。創立53年を迎えた創造が、初めてうちなーぐちの演劇に挑む。関連のフォーラム「演劇を通して沖縄的表現を考える」が3月27日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるであった。演出の幸喜良秀は「自分たちの言葉を回復する」とうちなーぐちの意義を強調した。

 幸喜のほか、「でいご村から」作者の大城貞俊、ジャーナリストの由井晶子が発言した。進行は崎山律子。本作は大城がやまとぐちで書き、桑江常光がうちなーぐちに翻訳した。
 幸喜は、創造の作品を「沖縄の現在、今日のうちなーんちゅを描くことに力を入れた」と説明した。一方、「『やまとに追い付け』とやまとぐちを勉強したが、母親の言葉に無頓着だった。それから沖縄芝居を学ぼうと、沖縄芝居実験劇場をつくった」と振り返った。今回、うちなーぐちを使うことに「舞踊家と作品を作る中で学んだことを創造に持ち込みたい。沖縄の身体と心を復権する」と意気込みを語った。
 また「芝居口調(くーちょー)(芝居で使われる言葉)は、近代にうちなーぐちの共通語になろうとしていた。村々の言葉を大事にしながら、共通語としてのうちなーぐちがあっていい」と述べた。
 「でいご村から」は、戦争に行ったまま帰らない婚約者を待ち続ける女性の物語。大城は作品のテーマを「デイゴの赤さは観光のシンボルだけではなく、血を吸った、戦争で死んだ人の色でもある。デイゴを見たら戦争を思い出そうと。言語だけでなく物で記憶を継承させたい」と語った。
 由井は「私が沖縄の演劇に目覚めさせられたのは創造の『人類館』だった。沖縄の現代のテーマに取り組んでいた」と振り返った。創造や、若い世代がしまくとぅばを学ぼうとしていることに期待を示した。
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 「でいご村から」は20日午後6時半にうるま市民芸術劇場で、29日午後6時半に国立劇場おきなわで上演される。問い合わせは創造(電話)090(2392)0804。