沖縄戦証言、日系米人から集録へ 投降呼び掛け調査も


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 県は本年度、沖縄戦で米軍の部隊に従軍した県系米国人らの体験談を集録する「日系米国人版戦争体験集録事業」を行う。県が日系米国人の証言を正式に記録するのは初めて。ハワイで調査し、最大15人分の証言を集める予定。映像記録は2015年度に県平和祈念資料館の証言ブースで公開する。

 米陸軍情報部(MIS)として沖縄戦に従軍したり、米国に忠誠を誓わずツールレイク強制収容所に移されたりした日系人などの取材を予定している。「帰日」中に開戦し、旧日本軍として米国と戦った日系人の聞き取りも行う。5月中に事前調査し、8月ごろに証言を集録する。
 MISは旧日本軍の資料翻訳や捕虜の尋問が主任務だったが、沖縄戦ではガマに避難した住民にウチナーグチで投降を呼び掛けるなど、住民の救命にも尽力した。投降に応じた住民の記録は残っているが、呼び掛けた側の証言は正式な記録はない。
 収容所の日系人は「命令があれば日本と戦うか」「米国に忠誠を誓うか」という二つの質問に、いずれも「ノー」と答えた人々で、通称「ノーノーボーイ」と言われ差別を受けた。
 昨年、平和祈念資料館が開いた特別企画展で、沖縄戦に関する日系米国人の証言が得られたため、正式な記録として残す事業を行うことになった。
 事業費は1490万円で一括交付金を活用する。同資料館での映像公開のほか、DVDの制作、貸し出しも検討している。
(稲福政俊)
英文へ→OPG to interview Okinawan Americans who worked for the U.S. military during the Battle of Okinawa