水産庁と沖縄総合事務局は9日、沖縄近海の外国漁船の違法操業取り締まり強化を目的に合同対策本部を那覇第2地方合同庁舎に設置した。日本と台湾の漁業取り決め(協定)締結後、初となる4月のクロマグロ漁を前に、安心・安全操業の確保をアピールする狙いがある。
水産庁から職員10人を対策本部に派遣して26人に増やすほか、取締船を1隻増やし6隻に強化する。
取締船は常に先島周辺海域をパトロールする。4月からのクロマグロ漁期には、県外からも応援の取締船が駆け付け6隻以上の体制で取り締まる。現場で日台漁業協定の合意水域をはみ出るなどの違反行為が確認された場合、漁業者からの通報を受けて拿捕(だほ)や操業ルールの指導徹底などの措置をとる。漁業者からの要請や漁具被害に関する24時間の相談窓口も設ける。
対策本部の開所式で水産庁の枝元真徹資源管理部長は、職員を前に「日台双方の漁業者が安心して漁ができ、それぞれにメリットがある姿にしていく必要がある。そのためにしっかりと取り締まりをしていく」と訓示した。総合事務局の河合正保局長は「海域は無秩序な状況で、違法船取り締まりは重要な責務。水産庁との密接な連携をし、秩序維持を図る」と意気込みを示した。
現場で取り締まりを担当する取締船「東光丸」の巽重夫船長は「対策本部が設置されたことで、昨年以上の取り締まりが強化できると考えている」と語った。
対策本部設置を受けて県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は「取り締まり強化は大歓迎。現場の意見として大きく評価する」と期待を示した。八重山漁協の上原亀一組合長も「クロマグロ漁のシーズンなので、取り締まり強化に期待している」と述べた。
2013年の日台漁業協定締結直後は、台湾漁船4隻が漁業主権法違反(無許可操業)の疑いで拿捕されたほか、台湾船との衝突事故が発生していた。