戦災免れ 市文化財に 旧高宮城村地籍図(明治期)自治会が提供


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那覇市文化財に登録した地籍図を見る翁長雄志市長(手前右から2人目)ら=3月24日、那覇市役所

 那覇市はこのほど、明治時代の旧高宮城村(現那覇市宮城)の地籍図を市の文化財に指定した。地籍図は沖縄で1899~1901(明治32~34)年にかけて、地租改正に相当する土地整理事業の際に作成されたもので、那覇、本島南部では他に見つかっていない。

提供した宮城自治会には3月24日、那覇市から感謝状が贈られた。翁長雄志市長は「貴重な文化財に触れることで心が豊かになる。大変ありがたい」と感謝した。
 地籍図は5枚。土地の所有者や地目を調査して測量したもので、地籍図を基に地価が査定され、税金が課せられた。当時作成された地籍図の現存が県内で確認できるのは浦添、宜野湾、今帰仁の一部などに限られる。
 戦時中は当時、自治会副会長だった故大嶺三郎氏が地籍図を肌身離さず持ち歩いたことで被災を逃れた。宮城自治会の上原俊光会長は「先人が命懸けで守った資料を永久に保存すべきだと思った。文化財に認められて誇りに思う」と話した。宮城自治会は地籍図のほかに1953~71年の字宮城の収支状況を記した出納簿も市に寄贈した。