廃止、存続 両視点学ぶ 那覇で死刑制度シンポ


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死刑制度を考えるシンポジウムで来場者からの質問に答える本江威憙弁護士(右)と小川原優之弁護士=19日、那覇市のサザンプラザ海邦

 沖縄弁護士会は19日、那覇市のサザンプラザ海邦で「死刑制度を考える~弁護人の視点、検察官の視点から~」をテーマにシンポジウムを開いた。

死刑廃止論と存続論の両視点から、日本弁護士連合会死刑廃止検討委員会事務局長の小川原優之弁護士と、元最高検公判部長の本江威憙(ほんごうたけよし)弁護士らが登壇し講演した。
 小川原氏は、死刑廃止論を主張。死刑判決が出たが、3月に裁判のやり直しが決まった袴田事件を例に挙げ、「捜査を人間に頼るだけでは無理がある。制度そのものを見直さなくてはいけない」と訴えた。また、冤罪(えんざい)を生み出す問題点として自白に頼る捜査を指摘。「長い時間取り調べを受けて人間の精神は正常でいられるだろうか」と問い掛け、市民の目が届く制度を議論する必要性を述べた。
 一方、本江氏は被害者や遺族の視点を含めた上で死刑制度を考えるべきだと主張した。「被告人の命の重みを感じながらも、被害を受けた側にも大変な苦痛が伴う。無念さ、寂しさ、やるせなさ、憤り、抑えてもこみ上げてくる復讐(ふくしゅう)の気持ちを私たちは直視する必要がある」と述べ、被害者側の声を伝える責務があると指摘した。