沖尚、14安打快勝 美里工、コールド負け 春季九州高校野球


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 高校野球の春季九州大会(第134回九州大会)は21日、熊本県の藤崎台県営野球場などで2回戦6試合を行い、2季連続優勝を目指す沖縄尚学や初出場の島原農(長崎)などが準々決勝に進み、選抜大会出場の神村学園(鹿児島)と美里工(沖縄)は姿を消した。

 沖尚は打線が14安打と爆発し、龍谷(佐賀)を11―4のコールドゲームで退けた。三回2死から登板の山城大智は1安打に抑える好救援だった。昨秋準優勝の美里工は一回に8点を奪われ、東福岡に0―8のコールドゲームで敗れた。
 沖尚の次戦は22日午前10時から、日南学園(宮崎)と4強を懸けて戦う。

◆左腕攻略 隙なく加点
 14安打で11得点。沖縄尚学が秋春連続の九州制覇へ、まず初戦を危なげなくクリアした。比嘉公也監督は「打球の方向が良かったし、2死から走って(盗塁して)タイムリーという攻撃もできた。左腕からというのも収穫」とうなずいた。
 試合が動いたのは、2点を追う二回だ。1死から相手失策と四球で一、二塁の好機を迎え、砂川修と代打の松元孝平が連続適時打。犠打を挟んで中村将己からの3連打でさらに畳み掛け、この回一挙5点を奪った。こうなると流れは沖尚のもの。以降は中村の2打席連続のバントヒットや盗塁も絡めて隙なく加点した。
 「爆発力に頼ってしまい、対応力がない」。春の甲子園での反省を指揮官はそう繰り返していた。センバツ準々決勝で敗れた相手の豊川(愛知)を手本に、バットを短く持ちコンパクトに振る練習に取り組んできた。3打席3安打を記録し、全て球を引き付けて右方向へ打った砂川は「練習から右方向を徹底的にやってきた。成果が出せてよかった」と白い歯がこぼれた。
 対応力に加えて指揮官がテーマに据えるのが新戦力の台頭だ。この日は先発の神里廣之介と、続く眞榮城健が結果を出せず早々とマウンドを降りた。けがで外れた赤嶺謙の代わりに中堅で出場した双子の弟・拓は「この大会で結果を残さないと夏はない。全力でアピールしたい」と語る。甲子園でもらった「宿題」を夏までに解決するため、この九州を確かなステップにしたい。(大城周子)

◆初回に8失点 あっけなく幕/美里工に硬さ
 1時間24分。昨秋準優勝校が、あまりにあっけなく勝負の舞台を降りた。
 初回が全てだった。神谷嘉宗監督は「球持ちがいいし、制球もいい感じできていた」と長嶺飛翔を先発起用。長嶺も「緊張はなく強気だった」と言う。だが、丁寧にいきたいとの思いが本来の良さを奪ったのか、3四球に3安打と制球に苦しんだ。0―5の2死一、三塁から救援した伊波友和も最初の打者に3点本塁打を浴びた。
 伊波は「長嶺が動揺しているのは表情で分かった。流れを断ちたかった」と悔しさを押し殺す。送球エラーなど美里工らしくないプレーもあった。指揮官は「周囲の期待に応えようと硬くなっているのかもしれない。もう一度チャレンジャー精神でやっていかないといけない」、伊波は「夏に結果を出して見返したい」と言う。新鋭が確かな強さを求め、もがいている。

2回戦・沖縄尚学―龍谷 4回沖尚2死二塁、西平大樹の右前適時打で生還する中村将己=21日、熊本県の藤崎台県営野球場(大城周子撮影)
2回戦・美里工―東福岡 1回途中で交替する美里工の伊波友和(左)と長嶺飛翔=21日、熊本県の県営八代野球場(大城周子撮影)