渡久地圭フルートリサイタル「ウィーンの風vol.2」が13日、南城市文化センター・シュガーホールであった。渡久地の繊細でテンポのあるフルートの音色が会場を包み、バレエ、琉球舞踊、DJとの異色のコラボレーションは観衆の目をくぎ付けにした。
ゴーベールの「ファンタジー」で幕が上がったリサイタル。須関裕子の奏でるピアノと渡久地のフルートの柔らかなメロディーが会場に響き渡る。
圧巻だったのは、渡久地、香港バレエ団で振付師としても活躍する江上悠と琉球舞踊の金城真次、そして琉球ディスコのDJ廣山哲史が一体となった「舞踊とのコラボレーション」だ。
ラヴェルの「亡き王女の為のパヴァーヌ」では、金城と江上が琉球舞踊とバレエの「出合い」を表現。バレエダンサーの江上が金城を抱え上げるという光景も見られた。続く「道化師の朝の歌」「無伴奏フルートの為のパルティータ」では琉球舞踊、バレエの舞の特徴を余すところなく発揮した。
八重山民謡の「鷲ぬ鳥節」では、金城が親鳥、江上がひな鳥を演じた。金城は上体や腕を大きく動かし、江上はしなやかで繊細に指先まで動かすといった琉球舞踊とバレエ、それぞれの表現方法で観客の目を引き付ける。鷲ぬ鳥節はフルートと琉球舞踊、バレエとの融合、そして旅立ちを表現した構成。今後の沖縄の芸能の新たな可能性を期待させた。
フルートとピアノの音色、そして、DJのスクラッチが刻む音に合わせ、舞台全体を使い、舞い踊るさまに観客は息をのんだ。渡久地の「沖縄でクラシックをさまざまな形で発信したい」との真摯(しんし)な思い、情熱に胸を打たれて、今回のコラボレーションにつながった。
楽器と琉球舞踊、バレエが舞台に立つ公演を目にした人々からは拍手や指笛が鳴りやまなかった。渡久地と須関が再登場し、「フルートとピアノの為のソナタ」を披露。軽快で軽妙なテンポの楽曲でリサイタルを締めくくった。
(大城徹郎)
![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/uploads/img5355d26ec9e4d.jpg)
![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/uploads/img5355d27425c7e.jpg)