貸し切りバス新運賃・料金 関係業界、観光への打撃懸念


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約150人が参加した貸し切りバスの新運賃・料金の説明会=25日、那覇市のサザンプラザ海邦

 沖縄総合事務局は25日、貸し切りバス業者や旅行業者を対象に、「貸し切りバス新運賃・料金制度」に関する説明会を那覇市のサザンプラザ海邦で開催した。料金改定は、2012年に発生した関越道でのツアーバス死亡事故を受けた安全対策の一環。これまでの運賃は移行期間が終わる6月末で廃止されるため、関係業界への影響が懸念される。

 新運賃は、距離と時間の併用制となり1キロごとと1時間当たりの基準額を総合事務局が設定。バス事業者は基準額の0・9~1・3倍の範囲で金額を決めることができる。
 また、出発前点検と帰庫後点検のそれぞれ1時間が時間制運賃に加算される。料金は、深夜早朝運行料金を新たに設けた。午後10時から午前5時にかけての時間運賃の割増分を料金として設定できるようになった。
 説明会には、県内の貸し切りバス業者や旅行業者など85団体・154人が参加。国土交通省自動車局旅客課バス産業活性化対策室の高瀬誠一郎課長補佐が運賃改定の経緯や、新運賃・料金の計算方法などを説明した。
 高瀬氏は「23年間貸し切りバスの基準となる運賃は変わっていなかった。その間、商習慣などが変化し、人件費など安全対策の費用が削減されていた。新運賃・料金は安全運行にかかるコストなどを含めた金額なので、値上げと捉えないでほしい」と話した。
 会場からは「学校のスクールバスは旧運賃だが、7月からは新運賃で対応しなくてはいけないのか」「客と旅行会社の契約はあるが、バスが満車で利用日程がまだ決まっていない案件もある。7月以降にバス会社と契約したら新料金になってしまうのか」などの質問が相次いだ。
 説明会後、貸し切りバス業者の男性は「新運賃通りに利用してもらえれば助かるが、利用者が減ったり、旅行代理店から値上がり分をキックバックとして求められないか心配だ」と不安げに語った。
 大手旅行代理店の担当者は「観光客の受け入れに大きな影響が出る。新運賃だと貸し切りバスを使うことが難しくなる。対策を考えたい」と困惑気味に話した。