健診ツーリズム始動へ 全国の健保協から情報


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沖縄独自のシステムを活用した検診ツアー

 県外から沖縄を訪れる観光客が、過去に地元で受けた健康診断のデータを参照しながら、県内で健診を受けられる仕組みが進んでいる。医療情報システム運営のブルーブックス(那覇市、志茂英之社長)が、那覇市医師会と連携して進める「生涯健康記録(LHR)システム」を活用し、受診率向上も見据えた新たなビジネスに取り組む。

現在、受診できる医療機関は那覇市内で40機関に上っている。
 ブルーブックスによると、本人が生活する地域で受診したデータを、県外の旅行先などで閲覧できるのは沖縄だけという。
 LHRシステムを活用した初の健診・観光ツアーが6月24~26日の日程で実施される。全国の健康保険協会が呼び掛けており、各協会で保存する被保険者の健診データを沖縄に転送する。来年1月にも第2回を予定しており、来年度は旅行代理店が観光メニュー化する計画もある。
 6月の第1回は試験的に健診車を使用する。県外から沖縄に到着した観光客は空港で受診し、その後県内で観光を楽しみ、帰りに空港のカウンターで健診結果を受け取る仕組み。
 志茂社長は「沖縄で受診してもデータが連続していることが最大の特徴。沖縄の指定機関ならどこでもデータを見てもらえる」と健診ツアーの特徴を説明する。「特定健診は保険者の義務にもなっている。健診率を上げる意味もあり、保険者がツアーを主催する利点がある。国民健康保険や健保協会などが相乗りし、あらゆる医療機関からデータを参照できる仕組みにしていきたい」と述べた。
 LHRシステムは、那覇市医師会が保有する延べ37万人分の特定健診や臨床検査データを医療機関で共有する。医師会加盟250機関のうち、現在40機関がシステムに登録している。
 ブルーブックスは2002年設立。保険者と被保険者、医療機関が情報を共有して健康づくりをネット上で支援する「健康マイページ」を開発、運営してきた。
 沖縄振興開発金融公庫は1日までに、LHRの運転資金として2千万円の融資を同社に実行した。7年期限で一括返済となる。自己資本とみなせる資本性ローンに当たり、民間金融機関からも新規融資を受けやすくなる利点がある。