「機長の認識不足」 ピーチ社、説明“不十分”で見解


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 ピーチ・アビエーションの旅客機が、那覇空港近海で海面に異常接近した事案で、乗客に十分な状況説明がなかった件について、ピーチ社の広報は「当該機の機長自身、当時重大な事案という認識がなかったため通常の『着陸をし直す』というアナウンスにとどまった」と説明した。

専門家は「地上接近警報装置(GPWS)が鳴ったにもかかわらず、重大な状況だと思わなかったこと自体、リスク管理の面で問題だ」と指摘した。
 当該機に乗っていた乗客は、本紙の取材に対し「『悪天候のため、着陸をし直す』とアナウンスしていたと思う」と話している。その点についてピーチ社は「視界不良だったので、そのようなアナウンスがあったかもしれないが現在、運輸安全委員会で調査中なので、その結果を待ちたい」としている。
 着陸をやり直す際、乗客に説明しなかったことについて、元全日空機長で航空評論家の前根明さんは「『警報装置が作動したので、安全のため着陸をやり直す』などの説明をしていれば、乗客に一定程度理解してもらえたかもしれない。情報開示の時代なので、保安に関する部分以外は正直に説明すべきだ」と言及した。
 さらに「GPWSが鳴るのは、『危険な状況の一歩手前』というのが操縦士の共通認識だ。(ピーチ社が説明する)機長が重大な事案とは思わなかったという認識自体がリスク管理の面で問題を含んでいる」と指摘した。
 一方、元日本航空機長で航空評論家の小林宏之さんは「乗客を動揺させないための機内アナウンスも考えられるが、それ以前に機長の認識に疑問を感じる。GPWSが鳴ったということは、原因究明のための機体の点検が必要。同じ機体で関西に飛んでいることも通常考えられない」と語った。