学テ対策 勉強嫌いに 「豊かな学力」教師らシンポ


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沖縄の子どもたちの学力について意見を交わす現役教師のパネリストら=4月29日、那覇市の沖縄大学

 子どもの学力について話し合うシンポジウム「今沖縄の子どもたちに豊かな学力を―学力保障への多面的なアプローチを求めて」(県教職員組合那覇支部主催)が4月29日、那覇市の沖縄大学で開かれた。

村山士郎・大東文化大学教授による基調講演のほか、現役の小中学校の教師がパネリストとして登壇し、全国学力テスト対策を重視した今の沖縄の教育政策の在り方などについて議論した。
 県立高校入試の平均点が過去11年間で44・5点(300点満点)低下していることも報告された。約130人が来場した。
 パネリストとして、村山教授のほか和泉康彦・沖縄地区数学教育協議会研究局長、槙田正法氏(小学校教員)、寺澤与聖夫氏(中学校教員)が登壇、進行役を長堂登志子・県民間教育研究所所長が務めた。
 教師歴20年以上で、長年学力テスト対策に力を入れてきたという槙田氏は「(学テ対策重視のあまり)子どもたちが、目の前にある当面の課題を終わらせることが目的になってしまい、勉強嫌いの子にしてしまっているのではないか」と振り返った。
 中学の数学教師である寺澤氏は「生徒たちは問題を解く力はあるが、その意義や有用性を実感できていない。学問の良さを実感できる教育については国の指導要領にも明記されている。意外とそれを意識していないのは、テスト順位であおられている現場の教師かもしれない」と分析した。
 和泉氏は「なぜそうなるのかを理解しないまま、無理に覚えたりした時に、人は不安になり、勉強が楽しくなくなる」と分析し、考える力を伸ばすことが、楽しい勉強につながると提言した。