共生社会条例1ヵ月 「支え合い」理念胸に 障がいの息子、普通園へ


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金澤まゆさん(中央)と息子の陽太君(左)、奏太君。陽太君は、奏太君が紙で作ったこいのぼりを両手に持っている=5月1日、沖縄市上地の中の町幼稚園

 県の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」が4月に施行されて、1カ月が過ぎた。条例の存在に励まされた人がいる。沖縄市の金澤まゆさん(35)は、障がいのある友人と条例が支えとなり、脳性まひで車いすに乗る息子・陽太(ひなた)君(6)を、双子の兄・奏太(かなた)君と同じ、普通幼稚園に通わせることを決めた。共生社会の実現という条例が目指す社会に向け、一歩を踏み出した。

 金澤さんは、陽太君の進学について特別支援学校も考えたが、「地域で生きるために地域との関わりが必要」と普通幼稚園への入園を希望した。しかし、市は難色を示した。「子どもの適性に合った所が良いのでは」との市担当者の言葉に、思い悩んだという。
 その時頭をよぎったのは、障がいがあるから何かを諦めるのではなく、周囲に支援を求めながら人生を楽しむ友人たちの姿だった。「接するうちに支え合い、共に過ごすのが『自立』だと考えが変わっていた」
 そして「陽太がいることで、周りが学ぶこともあると思う」と考えるように。「条例が目指す社会と同じではないか」と背中を押され、入園を強く希望し続けた。陽太君は4月、市立中の町幼稚園へ入園した。
 先月、入園した陽太君は「おままごとで遊ぶのが楽しい」とはにかむ。同園の早田実園長は「陽太君のお手伝いになればということで、何人かの園児が車いすを押す姿もある」と話す。
 金澤さんは「(障がい者が)選択した希望に、できるだけ寄り添う社会になってほしい」。条例が浸透するように期待を込めた。(大嶺雅俊)