卵価格2~3割高で高止まり 昨年の供給不足尾引く


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県内の鶏卵卸価格の指標となる福岡の月別キロ単価(Mサイズ)

 県内の鶏卵卸価格が年明けから、前年比で2~3割高で推移している。県内価格の指標となる福岡県のJA全農たまご(Mサイズ)加重平均価格は、4月が1キロ当たり前年同月比21・3%増の205円だった。

小売価格も2割増など影響が出ている。猛暑などが要因で、昨年夏ごろから続く供給不足が尾を引いている。今後は夏場の需要減などで徐々に価格は低下する見通し。一方で飼料高騰に苦しむ生産者にとっては、価格低下で経営がさらに厳しくなりそうだ。
 県内価格の目安は、輸送費などを加味して福岡の価格に15~20円上乗せした価格となる。福岡の価格は1月が32・3%増の217円、2月が17・4%増の223円、3月が20・8%増の215円だった。
 鶏卵価格は昨年夏ごろから上昇を続け、12月には過去5年間で最高の270円を記録した。卸値の低水準が続いた一昨年の反動で生産量が減少したほか、夏場の猛暑で採卵量も減り、死ぬ鶏もいたという。
 例年年明けは、年末のケーキ需要などの反動で在庫が余り、価格が急落する。今年1月も前年12月比で53円安となったものの、基準となる価格が高く依然高止まりしている状態だ。
 今後は生産量の回復や夏場の需要減で価格は減少に転じる見通し。だが例年価格が下がるゴールデンウイーク明けも「あまり落ちなかった」(県内鶏卵卸業者)との実態が続く。5月7日の価格は2日より10円安の190円だった。
 小売価格にも直接的な影響を及ぼしている。Mサイズ10個入りは、各量販店で200円前後。県内大手量販店の担当者は「前年の同時期よりも2割ほど上昇している」と話す。
 一方、県養鶏農業協同組合の担当者は「農家は飼料や畜舎の資材高騰に苦しんでおり、高騰分があっても経営は厳しい。『卵は安くて当たり前』と見られがちだが、消費者理解がないと農家は苦しい」と嘆いた。
(長嶺真輝)