IT活用し離島支援 県、定住条件向上目指す


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 県は本年度、情報通信技術(ICT)を活用した離島支援の実証事業を本格化させる。生活や教育面などでの離島の課題を、情報技術を活用して克服することが狙い。5月中旬以降、一人暮らしの高齢者の見守り・健康管理のため、血圧計や体重計などの測定値が自動的に医師や役所に送信される取り組みを始める。

沖縄本島などの学習塾と結んで生中継し、離島で授業をする公営塾事業も行う。
 県は事業を通して離島の定住条件を向上させ、人口減少に歯止めをかけて活性化につなげたい考え。観光や防災・防犯面などでの展開も視野に入れる。
 本年度は高齢者見守りと学力向上の2事業に関するICT活用法を民間から公募した。5月中旬までに委託先の業者を選定する。
 高齢者見守り事業は、一人暮らしのお年寄りが通信機能付きの健康管理機器を活用する。一定期間、使用がない場合は離れて暮らす家族や医師、役所へ通知される仕組み。
 学力向上事業は双方向のビデオ会議システムを活用した小中学生向けの塾を想定。与那国町などが独自に同様の事業に取り組んでおり、複数離島を結んで授業を行う計画だ。
 県地域・離島課は「高齢者見守りでは、大量の測定値を長寿復活対策に活用することも期待される。行動パターンを把握することで認知症の早期発見などにもつながる」と説明。学力向上事業では「離島で受けられなかった教育サービスを提供できる」と期待している。(古堅一樹)