「ウミガメ、無事に産卵させて」 環境悪化で注意喚起


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産卵できずに海へ戻るアカウミガメ=3日午前6時40分ごろ、国頭村楚洲(嘉陽宗幸さん提供)

 【国頭】本島北部でウミガメを調査しているNPO法人日本ウミガメ協議会の嘉陽宗幸さん(60)=国頭村=が3日早朝、国頭村楚洲の海岸で、右の後ろ足の先を失ったアカウミガメの雌が産卵できずに海に戻る様子を確認した。

5日、このウミガメが無事産卵するのを見届けたという嘉陽さんは、夏に向け「海に行く機会が増えるので、ウミガメの産卵を邪魔しないよう注意してほしい」と呼び掛けている。
 嘉陽さんによると、このウミガメはサメなどにかまれて足先を失ったことで砂浜に穴を掘ることができず、3日は海に戻ったとみられるという。甲羅の右側、腹部もえぐれていた。
 上陸した砂浜には穴を掘ろうとしたくぼみを複数確認したが、産卵できるだけの深さまで掘られていなかった。砂浜で産卵できないと、海中で卵を産んでしまうこともあり、そうすると、ふ化した子ガメが死んでしまう。
 嘉陽さんは毎朝、国頭村内の海岸などで産卵状況を調査している。2日にもこのウミガメが、同じ場所で産卵しようとしたが、そのまま海に戻るところを目撃した。そのため、3日早朝に再び、確認に訪れたという。
 今回は、けがで産卵できず海に戻ってしまうケースだったが、嘉陽さんは、夏に向け、他のウミガメも産卵できない可能性があると危惧している。「海岸でキャンプをする行楽客が増える。夜も光があると、ウミガメが砂浜に上がることができない可能性がある。気を付けてほしい」と注意を呼び掛けている。