県内「ブラック企業」21件 賃金不払い、違法残業


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 厚生労働省が昨年9月、過重労働による「若者の使い捨てが疑われる企業」を選んで実施した全国調査で、県内では調査対象とした27事業所のうち21事業所で違法な時間外労働や賃金不払い残業などの労働関係法令違反を沖縄労働局が確認、監督指導を行っていたことが分かった。

違法な時間外労働は16事業所、賃金不払い残業は10事業所で確認した。長時間労働については月80時間以上の残業が5事業所で、うち100時間以上が3事業所と、過酷な労働の実態が浮かび上がった。
 過酷な労働で従業員を使い捨てる、いわゆる「ブラック企業」は今回の調査対象以外にも存在するとみられ、労働局は今後、指導・監督を強化する方針。
 調査は(1)長時間労働・過重労働(2)賃金不払い残業(3)職場のパワーハラスメント―の3点で「若者の使い捨てが疑われる企業」に予告なしで立ち入り、労務関係書類の確認や経営者らへの聞き取りなどを行った。労働関係法令違反があった県内事業所の内訳は、製造業8、接客・娯楽業7、商業4、教育研究業1、その他3だった。
 時間外労働の限度を定めた「36協定」を結ばずに長時間の残業をさせていたり、同協定で定めた時間を超えて残業させたりする例があった。「就業規則がない」「書面で渡すことが義務付けられた労働条件を口頭で伝えている」例もあった。
 沖縄労働局監督課は「今回調査した事業所以外にも労働関係法令に違反している県内事業所はあるはずだ。(各事業所が)長時間労働や賃金不払い残業などがないか、自己点検し見直してほしい。啓発に力を入れたい」と強調している。