被災漁船と再会 石巻の松川さん3年ぶり


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NPO法人ハマスーキの上原謙理事長から漁船「松一丸」のナンバープレートを返却され、笑顔を見せる松川一雄さん(右)=30日、糸満海のふるさと公園

 【糸満】2011年3月11日の東日本大震災で発生した大津波によって宮城県石巻市から流され、今月16日に糸満市の北名城ビーチ沖に流れ着いた漁船「松一丸」の持ち主、松川一雄さん(74)と幸子さん(70)夫婦が30日に来県し、3年ぶりに船と再会した。一雄さんは「二度と見ることはないと思っていた。感無量だ」と目を潤ませた。

 「11年間、漁に使った船だ。ありがとうと伝えるために来た」。そう語る一雄さんは、松一丸と3年ぶりに対面し、懐かしそうに船体をなでた。船をねぎらうように酒をささげ、手を合わせた。妻の幸子さんは「アワビやウニ漁の時には私も松一丸をこいだ。懐かしい気持ちでいっぱい」と話し、涙が頬を伝った。
 松川夫妻を招いたのは、「沖縄萩の会(在沖宮城県人会)」の田口純さん(63)=北谷町=と妻のキミヱさん(62)=糸満市名城出身=で、宿泊費などを支援した。純さんは「ふるさとの宮城県から妻の地元の名城に船がたどり着いたことに縁を感じた。再会が実現してうれしい」と話した。
 一雄さんの意向を受け当初、糸満市は同船の処分を検討していたが、糸満海のふるさと公園に展示、公開することになった。船の管理をするNPO法人ハマスーキの上原謙理事長は30日、ナンバープレートを一雄さんに返した。上原理事長は「糸満にとっても津波は人ごとではない。船を活用して震災のことを忘れずに伝えていく」と語った。