改憲「若者死ぬだけ」 作家中田さん、安倍政権に警鐘


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中田整一さん

 元NHKプロデューサーでノンフィクション作家の中田整一さんが21日、那覇市の県立美術館・博物館で、戦艦大和を旗艦とした第二艦隊の司令長官伊藤整一とその家族の生涯について講演した。集団的自衛権の行使容認や改憲を目指す安倍政権の動きに触れ、「新たに戦争が起きても政治家は責任を取らない。ただ若い自衛官が死に、その家族が悲しむだけだ」と指摘した。「新老人の会」沖縄支部の例会で講演した。

 伊藤は1945年4月7日、沖縄への海上特攻途上で米軍機の攻撃を受け、大和とともに海に沈んだ。伊藤は日米開戦に反対していた。伊藤の死から3週間後、神風特別攻撃隊員だった長男の叡(あきら)は伊江島付近で戦死した。
 著書「四月七日の桜」で伊藤家について記した中田さんは講演で、愛する家族を失った遺族の苦しみなどを紹介。その上で「力の均衡で(国家対立を)処理することは約70年前の戦争で懲りたはずだ。今はそのような時代ではないことを、伊藤家を例に伝えてほしい」と来場者に呼び掛けた。