遺骨DNA鑑定を 強制連行犠牲者、韓国人遺族が要請


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厚労省の担当者に対し、収集された遺骨にDNA鑑定し、特定するよう求める要望書を手渡す「太平洋戦争被害者補償推進協議会」の李熙子共同代表(右)=23日、千代田区の参院議員会館

 【東京】韓国で強制連行被害の補償などを求める市民団体「太平洋戦争被害者補償推進協議会」の李熙子共同代表らは23日、厚生労働省に対し、日本政府の遺骨収集事業に韓国側遺族の参加や、収集された全ての遺骨にDNA鑑定し、特定するよう求める要望書を手渡した。

参院議員会館で記者会見した李共同代表は「日本政府はできることからやるべきだ。遺骨調査に遺族も含めてほしい」と訴えた。
 協議会を支援する団体によると、要請に対し厚労省は、遺骨収集事業への韓国側遺族の参加は困難だとの見方を示したという。さらに、DNA鑑定についても、本人と識別できる遺品の確認など、厚労省の基準を持ち出して説明したという。
 要請には沖縄戦で行方不明になった父の権云善(コンウンソン)さんの手掛かりを探している権水清(コンスチョン)さん(75)も参加した。云善さんは1944年に徴用され沖縄に連行され、陸軍軍属として特設水上勤務第104中隊に配属されたことが分かっている。水清さんは「いつ(父の遺骨が)見つかるのか気の遠くなる話だ。死ぬ前に、わたしたちの恨(はん)を解決してほしい」と訴えた。
 水清さんを支援するNPO法人「戦没者追悼と平和の会」の塩川正隆理事長は「沖縄県では、遺骨のDNA鑑定実施の意見書も可決された。沖縄県の取り組みに乗り、突破口にしていきたい」と強調した。塩川理事長らは7月に県や厚労省などと協議し、云善さんの遺骨の特定につなげていきたいとしている。