県漁連、米軍に賠償請求へ はえ縄切断で方針


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 県漁業協同組合連合会(国吉真孝会長)は30日までに、県内のマグロ漁船のはえ縄が相次いで切断された問題で、切断したとみられる米艦船が属する米海軍の法務部に損害賠償請求する方針を固めた。

現在、各関係漁協から、はえ縄切断による被害状況や映像などの証拠データを取りまとめている。これまで県漁連や県が原因究明を求めたのに対し政府は、米軍側への被害請求を促しており、事態を進展させるためにも米側に対して早期に意思表示する必要性があると判断した。
 データがまとまり次第、神奈川県横須賀市の在日米海軍と米ワシントンの米海軍本部にも請求する。
 国吉会長は30日、取材に対し「県漁連が窓口となって、各漁協の被害隻数と状況報告、日付などを取りまとめて送る」と述べた。
 県漁連が県とともに、外務省沖縄事務所に要請した際、沖縄事務所の松田賢一副所長は「(ワシントンにある)米海軍法務部へ(被害漁業者に)被害を訴えてもらい、その上で適切に対応したい」と述べ、米側への被害請求が先との認識を示していた。
 岸田文雄外相も12日の参院外交防衛委員会で、米側に請求した場合には「政府としては漁業者に対しできる限りの側面支援をしていきたい」と述べた。
 県の山城毅農林水産部長は30日の県議会代表質問で「県としては、賠償までの手続きが円滑に行われるよう、漁業関係団体を支援していくとともに、再発防止に向けた対応を政府に強く求めていく」と述べた。
 県近海鮪漁協と那覇地区漁協所属の複数のマグロはえ縄漁船が5月中旬から下旬にかけて、沖縄本島近海で米海軍の音響測定艦「インペッカブル」とみられる船にはえ縄が切断される被害に遭った。
 米軍側は県漁連や取材に対し、軍の関与には言及せず「海軍の運用で物的損害を受けたと思う者は、誰でも海軍法務部を通して米政府に被害を訴えることができる」と手続き論を答えるにとどめている。
(滝本匠)
英文へ→Okinawa Prefecture Fishery Cooperative to claim damages from the U.S. military over fishing boat line-cutting