沖縄征服の総力戦 マコーマック氏、政権を批判


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インタビューに応じるガバン・マコーマック氏=1日午後、那覇市

 「7月1日は歴史に残る日になるだろう」。集団的自衛権の行使容認が閣議決定された1日、米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古で新基地建設工事が着工された。

来沖中の日本近現代史研究者でオーストラリア国立大名誉教授のガバン・マコーマック氏は「安倍政権は沖縄を征服するための総力戦を仕掛けてきたと言ってよいだろう」と語った。その上で「非常に深刻な事態で楽観できない。法と憲法を軽蔑し、暴力装置を持つ国家にどう抵抗するのか、全ての人が考えなければならない」と問題提起した。
 マコーマック氏は、普天間飛行場の辺野古移設に反対する声明を出した海外有識者の1人。「かつての自民党はこのように特定の地方を弾圧することはなかった。大変悲しい出来事だ」と安倍政権を批判した。
 ことし1月、名護市長選で基地反対を掲げた稲嶺進氏が再選した。マコーマック氏は「どうしても名護市を許さないと決心したのだろう」と分析し、「アメリカを喜ばせ、中国との戦争を想定した軍事基地を提供するのが目的」だとみている。
 さらに、着工について「国会の議論を経ず、行政的な手続きだけで進められた。非民主主義的な手法で、非常に危険だ」と警鐘を鳴らした。
 マコーマック氏は「県民は政府に弾圧されていることを本土の人間、世界に知らせ、助けを求める段階に入っている」と考えている。「もし本土が応じなければ、非民主主義的な弾圧手法が、日本中に広まるだろう」と語気を強めた。(安田衛)