ウニ種苗の供給継続 県、停止計画から一転


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シラヒゲウニの放流実績

 県漁業栽培センター(本部町)によるウニの種苗供給停止を計画していた県が、漁業関係者からの要望を受け一転、供給継続を決定していたことが4日までに分かった。県は種苗生産施設の縮小と養殖期間短縮で種苗の供給を続ける方針。漁業者からは、歓迎する声が上がっている。

 県農水部は2月、種苗の放流量に対する収穫量の低迷を理由に、種苗供給の停止を検討していた。県が2004~08年に実施していた調査によると、染色した種苗の放流1年後の回収率は、平均1・8%にとどまっている。ハリセンボンなどの食害や引き潮時の雨による被害が影響しているという。さらに種苗生産施設が国道449号の拡張予定地と重なるため、15年度に閉鎖する予定だった。
 正式な方針を決定する前に種苗供給停止の情報が漁業関係者に伝わり、関係者が県に対し継続を要求していた。事態を収拾するため県は3月、関係者と意見交換し、種苗供給の継続を決定した。
 県は現在、センター内で種苗生産施設の位置変更を検討している。施設の面積は現在の1800平方メートルから縮小する見通し。従来30ミリまで育てて出荷していた種苗は、15年度以降10ミリで出荷する。中間育成は各漁業者が担う。県の担当者は「施設の縮小や小さいサイズで出荷することで、養殖施設を維持することができる」と話した。
 今帰仁漁協の平良栄康組合長は種苗の供給継続を受け、「供給停止と聞いたときは、何の説明もなく突然だった。われわれに種苗の栽培技術がないので、やめてもらっては困る。(種苗が)小さくても供給を維持してくれるのは、ありがたい」と評価した。
(上江洲真梨子)