枯れ葉剤疑い濃厚 沖縄市のサッカー場ドラム缶


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 【沖縄】ことし1月、米軍基地返還跡地の沖縄市サッカー場から新たに見つかったドラム缶から、沖縄市の調査分析で米軍がベトナム戦時に使用した枯れ葉剤「エージェント・オレンジ」の主要成分の一つ「2・4―D」が初めて検出されたことが、6日までに分かった。

もう一つの主要成分「2・4・5―T」も検出されており、ドラム缶の汚染物質に「エージェント・オレンジ」が含まれている可能性が極めて高くなった。
 枯れ葉剤に詳しい専門家は「オレンジ剤と同じ成分が検出された。枯れ葉剤が埋められたのは間違いない」と断定している。
 沖縄市は1月末に発見したドラム缶計61本の付着物や底面土壌、たまり水から試料を採取し、南西環境研究所へ委託して調査・分析を進めてきた。枯れ葉剤の主要2成分は、埋設ドラム缶のたまり水から検出された。市は6日、関係部局の幹部・職員を集めて調査結果を説明した。市は今週にも結果を公表する。
 調査したドラム缶61本中、3本から土壌の環境基準値を超えるダイオキシン類が検出された。最高値は基準値の約2倍という。そのほか、PCB(ポリ塩化ビフェニール)やPCP(ペンタクロロフェノール)も検出されているとみられ、枯れ葉剤に加えてその他有害物質による「複合汚染」の可能性が指摘される。
 ダイオキシン類と枯れ葉剤を研究する本田克久愛媛大学教授は「何種類もの枯れ葉剤・除草剤はあるが、オレンジ剤典型の成分が検出された。同じ組成の枯れ葉剤が埋められていたのは間違いない」と話す。
 2013年6、7月には計22本のドラム缶が、市サッカー場から発掘された。市の前回調査では、缶の付着物から土壌環境基準値の8・4倍のダイオキシン類が検出された。22検体中18検体から「2・4・5―T」が検出されたが、「2・4―D」はなかった。枯れ葉剤特有のダイオキシン類も高濃度で検出された。
 今回調査したドラム缶計61本のうち、30本はダウ社とみられる表記があった。(宮城征彦)

<用語>枯れ葉剤
 猛毒のダイオキシン類を高濃度で含む除草剤の一種。ベトナム戦時中、米軍が密林の枯死などを目的に空中から大量散布した。散布地域で、がんや出産異常など人体への有害性が指摘されている。ベトナムで主に使用された「エージェント・オレンジ」は毒性が強く、枯れ葉剤主要成分の「2・4・5―T」と「2・4―D」を混合して製造された。