「暗闇で聴く古典芸能」公演 西江、宮城が出演


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 【神奈川】夏至の夜に会場の照明を落とし、音で古典芸能を楽しむ「暗闇で聴く古典芸能」(横浜能楽堂主催)が6月21日、横浜能楽堂であり、沖縄から人間国宝の宮城能鳳と西江喜春が語り組踊「手水の縁」の「忍びの場」を聞かせた。

 催しは、環境問題への意識を高めようと夏至の日に各地で照明を落とすライトダウンに結び付けた企画。組踊以外に素謡「西行桜」、一管(能管の独奏)による「津島」、素浄瑠璃「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」が演じられた。
 真っ暗な会場で演者の姿が全く見えない中、士族の子・山戸が闇夜の中、美しい娘・玉津の元を訪れる「手水の縁」の名場面「忍びの場」が演じられた。西江の情感あふれる「仲風節」が闇の中で響き渡り、宮城が男女の二役で、2人の恋の高まる気持ちを表した。宮城は「初めての取り組みだったが、演者と観客がいい緊張感を生んだ」と話し、西江は「立方に合わせないからか場面をイメージしながら自分のペースで歌いやすかった」と話した。
 聴衆も漆黒の闇の中で聴覚が研ぎ澄まされ、しわぶき一つ聞こえない中、歌と唱えを耳で追っていた。