県在住の宮本亜門が演出し、県出身の仲宗根梨乃が振り付けるノンバーバル(言葉を使わない)舞台「TEE!TEE!TEE!(ティー・ティー・ティー)」が6日、那覇市の新都心公園で始まった。企画制作はシュガートレイン。9人の出演者がダンスや空手、フリースタイルバスケットボールといった特技を生かし、スピードと熱気あふれるパフォーマンスを見せた。
理屈抜きで楽しいエンターテインメントに仕上げつつ「勝ち負けではない」沖縄の心を発信した。
「TEE―」は昨年3月から試験公演を重ね、ことしから演出、振り付け、出演者を一新した。宮本は「沖縄で舞台を作るなら梨乃がいないのは考えられなかった」、仲宗根は「私は亜門さんのファン」と語り、互いに信頼を置く。
憧れの少女(松元祐稀)をめぐり、内気な少年(渡久地雅斗)がライバル(島袋寛之)と空手で対決する明快な粗筋。少年は相手を倒すためではなく平和のために手(ティー)を使うべきだと気付く。
宮本は今回初めて沖縄で舞台を演出した。「時代を乗り越えたおじい、おばあに『生きていることが宝』と教わった。世界中が領土争いで物騒な中、沖縄の心を伝えたい」と語る。観客をバランスボールに座らせるなど舞台との距離を縮める発想も光った。
仲宗根は振り付けを「それぞれの良さがあるので、みんなで作った」と振り返る。中でも異彩を放ったのは粒マスタード安次嶺だ。くねくねした動きと満面の笑顔。司会的な役割もこなし芸達者ぶりを見せた。仲宗根も「粒さんの動きはほとんど任せた。可能性がすごい」と驚く。主役とヒロインに抜てきされた渡久地と松元は原石の輝きを放った。昨年から引き続き出演している松元は健康的な魅力だけでなく、艶のある演技も見せた。
一方で琉舞「四つ竹」の取り入れ方は少し戸惑いも覚えた。その他の出演はReimie Furugen、池田一葉、DICE、尾崎美帆、古川朋海。
15~18日は那覇市の奥武山公園で午後3時、午後6時半開演。9月まで県内各地を巡業する。問い合わせはシュガートレイン(電話)098(882)3123。(伊佐尚記)
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