DFS、信託受益権売却 国内大手ファンドが取得


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「Tギャラリア沖縄 by DFS」の外観=17日、那覇市おもろまち

 那覇市おもろまちの免税店「Tギャラリア沖縄 by DFS」の不動産を信託することよって利益を得る信託受益権が5月22日、投資目的会社(SPC)の「おもろまち41」(東京)に売却されていたことが17日までに明らかになった。

信託受益権の売買は、不動産金融市場で急速に拡大しているビジネス形態。取得金額は150億円以上とみられる。今回の信託受益権売買によってTギャラリアの営業に影響はない。
 SPCのおもろまち41は、国内大手の「日本リテールファンド投資法人」、三菱商事とUBS(スイス)が出資する資産運用会社「三菱商事・ユービーエス・リアルティ」などと関連しているとみられる。おもろまち41は、Tギャラリアの土地、建物などに既に設定されている信託受益権を今回取得した。信託銀行への信託を継続し、信託銀行から支払われる賃借料などの信託配当を出資者へ分配する。
 日本リテールファンド投資法人は、商業施設に特化した不動産投資信託会社で、スーパーの「イトーヨーカドー」や大型商業施設「イオンモール」など全国で80件を超える商業施設に約8000億円投資している。県内では、イオン那覇ショッピングセンターに投資している。
 Tギャラリアは、2004年に「DFSギャラリア沖縄」として開業した国内唯一の路面型免税店。Tギャラリアの信託受益権は5月まで、別のSPC「おもろまちインベストメント」が保有していた。この信託受益権を、今回おもろまち41が取得した。
 観光客の増加や好調な景気に支えられ、国内外の資金が県内の不動産投資に向かっている。その結果、国際通りの再開発をはじめ、西海岸のリゾートホテル建設、テーマパーク進出検討などの動きが活発になっている。
 不動産関係者はTギャラリアの信託受益権の売却について「Tギャラリアは外国人の認知度も高く、投資価値が高いと判断したのだろう。国内外の企業による沖縄の不動産への投資は当面、続く見通しだ」と分析している。(佐々木健)

<用語>信託受益権売買
 一般的に不動産売買は資産の所有権が売り主から買い主へ譲渡されるが、信託受益権の売買は所有権ではなくいわゆる運営権の取引。この場合、不動産取得税は課税されず、手数料もかからないことから、実物不動産の取引と比べて割安で取引できる。不動産投資信託(Jリート)や不動産ファンドによる大型取引の多くは信託受益権が絡んでおり、不動産金融市場での取引が拡大している。