一体の音色に疾走感 室内楽「スーパークラシックス」


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爽やかな音色と清涼感あふれる楽曲が会場を包んだ「スーパークラシックスVOL.4 室内楽の饗宴 島田真千子withライジングスターズ」=11日、宜野座村文化センターがらまんホール

 「スーパークラシックスVOL.4 室内楽の饗宴 島田真千子withライジングスターズ」(ビューローダンケ主催)が11日、宜野座村文化センターがらまんホールであった。島田とその仲間による優雅な音色と清涼感たっぷりの楽曲がホールを包んだ。

 スーパークラシックスを手がける、ビューローダンケ主宰でフルート奏者の渡久地圭が「質の高いクラシックを故郷の沖縄に届けたい。ヨーロッパで体験した芸術文化の楽しみ方を沖縄で実現したい」との思いで2013年に始まった公演の第4弾。
 今回は渡久地のドイツ留学中の友人で、バイオリン奏者の島田が中心となった。コンサートは島田、宇根京子(同)、宮田大(チェロ)、大島亮(ビオラ)によるヴォルフ「イタリアンセレナーデ」で幕を開ける。メンバーそれぞれのソロに呼応するかのように、軽快で情熱的な音色がホールを包み込む。宇根が指で弦をはじき、弾むような音を響かせるなど、どこか懐かしい夏の景色を思い起こさせた。
 メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第一番」は4人に小峰航一(ビオラ)が加わり、優しい音色から始まる。宮田、大島の低音と島田、宇根の高音が積み重なっていく。4人の音が一つになり全体的に軽快なリズムを刻んでいく。それにゆったりとした小峰の低音がアクセントとなった。徐々にスピードアップして旋律を刻み、心地よい風を演出した。
 第2部はハイドン「ディベルティメント」から始まった。島田、小峰、幣隆太朗(コントラバス)の3人が演奏し、幣の重厚な音色と島田の旋律が加わる。緩やかに落ち着いた雰囲気を演出し、伸びやかな雰囲気を演出。終盤は駆けていく疾走感も顔を出し、楽しげに締めくくった。
 チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」は島田のほか、県出身の音楽家が集い、総勢14人で奏でた。一糸乱れぬ音色は緊張感をつくり出す。はかなさや悲哀といったさまざまな表情が顔を出し、重低音もはかなさに色を加えていく。中盤は一転して、軽快なテンポと壮大さの両面をイメージさせる圧倒的な音色が会場を包み、終演した。(大城徹郎)