毒ガス移送道路建設費 秘密裏に日本負担 外交文書


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 外務省は24日、外交文書86冊を一般公開した。沖縄関連は19冊で、1971年の米軍知花弾薬庫からの毒ガス2次移送に関する文書が含まれ、移送ルート建設費約20万ドルの全額肩代わりについて、日本政府が秘密裏に決定し、沖縄を支援していることを印象付ける工作をしていたことが日本側の文書で裏付けられた。

屋良朝苗主席を日米が政治利用しようとした動きや、尖閣諸島をめぐる台湾への働き掛けを示す文書も含まれている。
 毒ガス移送費用肩代わりでは、日米間で事前合意があり、琉球政府に隠されていたことが県公文書館所蔵の米国民政府(USCAR)文書で既に明らかになっている。今回公開された外交文書は、USCAR文書の内容を裏付けた格好だ。
 71年4月21日付の極秘文書によると、山中貞則総理府総務長官が20万ドルの肩代わり決定を吉野文六外務省アメリカ局長に伝えた。山中氏は、屋良主席から米に負担要求させ、米側に断らせた上で最後に日本政府に要請させる筋書きを示し、実行された。USCAR文書はこの筋書きが芝居がかっていることから「歌舞伎シナリオ」と呼んでいる。
 同年4月24日付の極秘文書で、日本政府による肩代わり決定が琉球政府に伝えられる前に、工事を実施する米側への送金方法についても日米で協議が行われていたことも分かった。
 また、69~71年の日米両政府関係者の会談記録は、関係者らが屋良主席の中道的な政治姿勢を評価し、沖縄問題の解決に効果的に利用しようとしていたことも判明した。(新垣和也)