伊福部への尊敬込め 高良仁美ピアノリサイタル


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尊敬する伊福部昭の楽曲を中心に演奏された「高良仁美ピアノリサイタル~映画『ゴジラ』の作曲家 伊福部昭生誕百年を記念して~」=21日、沖縄市民小劇場あしびなー

 「高良仁美ピアノリサイタル~映画『ゴジラ』の作曲家 伊福部昭生誕百年を記念して~」が21日、沖縄市民小劇場あしびなーであった。有名なクラシック曲だけでなく、世代を超えて愛される映画「ゴジラ」のテーマ曲を作曲した伊福部の作品を聴こうと多くの聴衆が訪れた。

 リサイタルはハイドン「ピアノソナタハ長調」で幕開け。優しくしっとりとした音色と力強い音色が会場を包む。グラナドス「3つのスペイン舞曲」では表情の異なる3曲を演奏する。「ガランテ」「オリエンタル」「アンダルーサ」と、力強さの中に切なさを表現した。
 第2部は伊福部の楽曲を披露。生誕100年を迎えることし、CDアルバム「伊福部昭ピアノ作品集」に参加した高良。「一度しかお会いしていないが、とても温和な方だった」と思い出を語り、演奏を始める。
 「日本狂詩曲」から「夜曲」を演奏。重厚な低音をベースに、祭りばやし、笛の音色が聞こえてくるような、懐かしい祭りの風景を想像させる。続く「祭」はタイトルにふさわしいにぎやかな一曲。終盤に向かうにつれ、激しさ、躍動感たっぷりに締めくくる。
 ゴジラのテーマ曲として有名な「SF交響ファンタジー第1番ピアノ独奏版」。高良が「同じ低音を繰り返すことで気持ちを高揚させていく」と楽曲の特徴を説明。聞きなじみのある重厚な低音から始まり、中盤ゆっくりと威圧感のある曲で、人を引き付ける。伊福部への尊敬の念を込めながら、一つ一つの音を奏でた。