音楽で楽しむ世界旅行 IL PIACERE


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世界各国の音楽を演奏し、“世界旅行”を満喫した「世界音楽めぐり~多国籍フュージョン」=26日、沖縄市民小劇場あしびなー

 アンサンブルユニット「IL PIACERE(イル ピアチェーレ)」の「世界音楽めぐり~多国籍フュージョン」が27日、沖縄市民小劇場あしびなーであった。ドイツ、アルゼンチンなど世界各国の音楽15曲を演奏し、来場者は音楽を通じて“世界旅行”を楽しんだ。

 ユニットはドイツで活躍する高畑壮平(第1バイオリン)が親交のある演奏家と2000年に結成。今回の演奏会では、イーアン・チェン(第2バイオリン)、平良敏人(ピアノ)、大嵩有紀(ビオラ)、安富祖久美子(コントラバス)、打越山修多(チェロ)が絶妙な旋律で会場を沸かせた。
 コンサートは宝塚歌劇団の代名詞としても有名な「スミレの花咲く頃」で開幕する。日本でも有名な童謡「鬼のパンツ」の元となったイタリアの歌曲「フニクリ・フニクラ」では、訪れた子どももメロディーに肩を揺らし、大人だけでなく、子どもの心も引き付ける。
 スコットランド民謡「ロッホ ローモンド」は悲しげな雰囲気が印象的。どこか日本の童謡に似た音階が寂しさを演出し、打越山のソロが重みを加える。
 第2部は一転して、エキゾチックな選曲が中心。弾むような旋律のドイツの「ブラター公園は花盛り」を演奏。アルゼンチンタンゴの「ボル ウナ カベーナ」はチェロとコントラバスの低音が土台となる。中盤から一転してリズムが急に速くなり、情熱的な雰囲気を醸し出す。演奏が終わると、ひときわ大きな拍手が送られた。
 続く「インドの歌」はゆったりとけだるい雰囲気を演出しながら、随所に神秘的な表情も顔を出す。その後もアイルランド民謡などを次々と演奏し、コンサートはフィナーレへと向かう。
 高畑が「音楽は世界中にあふれ、無くてはならないもの」とあいさつし、最後の曲として披露した「歌は世界を巡る」では、高畑の奏でる高音に5人の低音から高音が見事に合わさる。6人による伴奏で沖縄民謡「芭蕉布」を来場者が歌うぜいたくなアンコールで幕を閉じた。(大城徹郎)