西原の偉人 住民が上演 新作組踊「内間御鎖金丸」


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西原の偉人・金丸が国王に即位する物語を町民で演じた新作組踊「内間御鎖金丸」=20日、西原町のさわふじ未来ホール

 【西原】西原町文化協会による新作組踊「内間御鎖金丸(うちまうざしかなまる)」が20日、同町のさわふじ未来ホールで上演された。同ホールの完成を記念した3週連続公演のトリを飾る町民歌劇。

西原間切内間地頭職から第二尚氏の始祖となった金丸(後の尚円王)の国王即位までの物語を重厚に演じ切り、満員御礼となった観客席から大きな拍手が送られた。
 505人収容のさわふじ未来ホールがこのほど完成し、町文化協会と町教育委員会の協働事業としてこけら落とし公演が企画された。
 「内間御鎖金丸」は、宮良邦夫さんの戯曲「天使金丸」を原作に、勝連繁雄さんが脚本、屋良朝光さんが監修を務めた。
 西原間切の内間地頭に任ぜられるなど尚泰久王に重用された金丸だったが、息子の尚徳王時代にはその専制的なやり方と衝突し、西原間切に隠居する。それでも民のための政治を説き、西原間切の村人に尊敬された金丸の人徳が国王即位へと推されていった生きざまと歴史物語を描いた。
 立方36人、地謡10人の出演者は全て町民。唯一の小学生として村人役で出演した池原輝飛(てるたか)君(坂田小5年)も、舞台の中央で堂々とカチャーシーを舞い、会場を沸かせた。
 こけら落とし3公演は、事前に配布された入場整理券が開始40分で終了となるなど、町民の期待の高さがうかがえた。泉川マサ子さん=町与那城=は「組踊を通してまだ知らない沖縄の歴史を知ることができて良かった。西原が文化に力を入れているのが伝わる素晴らしい舞台だった」と語った。