沖縄科学技術大学院大学、初のベンチャー企業設立


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ウルフ・スコグランド氏

 沖縄科学技術大学院大学(OIST、恩納村)発の第1号ベンチャー企業として沖縄プロテイントモグラフィー(沖縄PT、うるま市、亀井朗社長)が設立し8月から始動する。OIST構造細胞生物学ユニット代表のウルフ・スコグランド教授が開発した、タンパク質の構造を3次元で可視化する世界で唯一という技術を独占使用する。

新薬開発に必要なタンパク質の分子構造解析を製薬会社などから受託する。従来のX線解析の手法では解析できなかったタンパク質も解析できるようになる。将来的には創薬や診断ビジネスも目指す。
 従来、タンパク質の構造はX線結晶構造解析の手法で分析されている。これだと対象物資を結晶化しなければならず、約8割の結晶化できないタンパク質は分析できていなかった。
 スコグランド教授が開発した技術では、試料を結晶化させず、電子顕微鏡でさまざまな角度に281回回転させて撮影し、3次元構造を復元する。さらに独自開発したプログラムでパソコン上でノイズを分離して画像処理する。約1・5ナノメートル(100万分の1ミリ)まで識別できる分解能がある。
 沖縄PTは6月25日設立。スコグランド教授は「世界に唯一の技術で、日本の製薬企業にもチャンス。新薬開発に寄与できる」と技術の意義を強調した。
英文へ→OIST founds its first venture company