心に響く中低音 鈴木孝一郎


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
体の芯まで響く、ユーフォニアムの中低音で会場を沸かせた、鈴木孝一郎のリサイタル「oblivion(オブリビオン)」=7月30日、那覇市ぶんかテンブス館

 県出身で米国を中心に活動する、ユーフォニアム奏者の鈴木孝一郎のリサイタル「oblivion(オブリビオン)」が7月30日、那覇市ぶんかテンブス館であった。他の出演者に、鈴木の小学校時代からの友人・伊波秀一(パーカッション)、鈴木の妻・鈴木ユリア(チェロ)といった、気心の知れた仲間に支えられた心温まるリサイタルとなった。

 ユーフォニアムは金管楽器の一つで、鈴木は「中低音で深みのある音色」と魅力を語る。リサイタルは「ラベカンド」で幕開け。体の芯まで響く低音で、行進曲のような楽しげな楽曲から始まった。
 2曲目はペニー津波(ピアノ)、伊波とともに「真珠」を披露した。軽快なリズムで始まり、中盤はピアノの繊細なソロが響き、終盤はまたもや軽く、弾むようなテンポで締めくくる。ユリアの「チェロ組曲2番~プレリュード~」に続く「サットコ」は、鈴木夫妻が共演。序盤、ユリアが激しくチェロをかき鳴らし始まる。その後、ユーフォニアムの軽快なリズムと、交互に顔を出し、終盤に向け、2人の息の合った音色が合わさっていく。
 第2部は「3年前に訪れた際に見たすてきなイメージを忘れたくない」との思いが込められた「マシシ」で始まる。その後も「ユーフォニアムタンゴ」では情熱的な楽曲を演奏。「リベルタンゴ」では中盤、鈴木とユリアがタンゴを披露し、会場を沸かせた。アンコールでは宮良長包の「えんどうの花」を披露し、リサイタルを締めくくった。