愛用名器を琉響へ寄贈 小菅さんのコントラバス


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コントラバスを寄贈した小菅陽子さん(前列左から2人目)と琉球交響楽団の団員たち=7月30日、浦添市

 【浦添】フリーライターの小菅陽子さん(48)=那覇市=が7月30日、音大学生時代から愛用してきたコントラバスを琉球交響楽団に寄贈した。

英国製の名器の提供を受け、同楽団として所有する楽器第1号となったことに団員たちも感激。小菅さんは「苦楽を共にした仲間」との別れに思わず感極まる場面もありながら、「これから羽ばたく楽団なので、安心して預けられる。沖縄でオーケストラの認知が広がるきっかけになれば」と晴れやかに話した。
 浦添市中央公民館分館であった贈呈式で、岩崎セツ子副代表は「県民のオーケストラとして応援してもらえるよう再出発を決意したタイミングに、シンボリックな出来事だ」と感謝した。
 洗足学園音楽大学(神奈川県)に通っていた小菅さんは、楽器店に展示されていたコントラバスに一目ぼれして購入した。英国の楽譜出版社ブージー&ホークス社が楽器生産していた時代のもので、1930年代の製造とみられる。15年前に沖縄に移り住んだ際には、多湿環境にも耐えるよう膠(にかわ)を厚く塗って沖縄仕様になった。
 だが、社会人となり楽器に触れる機会は少なくなっていった。今回、自宅の引っ越しを機に「楽器は弾いてもらった方が私としてもうれしい」と、演奏会に参加する縁のあった琉球交響楽団に寄贈を決めた。「いい音が出ますので、皆さんと一緒に頑張ってくれると思います」と託した。
 早ければ10月17、18日に浦添てだこホールで開催する定期演奏会で使用される。