依存症援助者が連携 立場超え課題共有


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
各依存症の援助職らによる「沖縄ANDOGネットワーク」の勉強会で、動機付け面接(MI)の実践演習をする参加者ら=5日夜、那覇市の沖縄大学

 アルコールやニコチン、ドラッグなど、さまざまな依存症に関わる援助者が集う非営利団体「沖縄ANDOG(アンドッグ)ネットワーク」が情報共有やスキルアップのため月1回の勉強会を続けている。

これまで各依存症の専門職は横のつながりが薄く、情報を共有できる場がなかった。会長を務める沖縄大学教授の山代寛さんは「依存症は脳内で起こっている反応など、根が同じ。アルコールや肥満など、県民の心身の健康をむしばむ依存症問題に向き合い、健康沖縄の復活につなげたい」と話す。
 ANDOGは、アルコール、ニコチン、ドラッグ、過食や病的肥満(OverEating 、Obesity)、ギャンブルの頭文字。援助者同士の連携が必要だと、医師や相談員など5人が呼び掛け、2012年12月に発足。毎月第1火曜日を基本に勉強会を続けてきた。会員は発足1年半余で約140人に上る。
 毎月の活動では、各依存症の知識を深める講座に加え、依存症の回復に有効とされる面接技術「動機付け面接(MI)」の実践練習を毎回取り入れている。
 8月の例会は5日夜に沖縄大学で開かれ、呼び掛け人の一人でもある沖縄協同病院精神科医の小松知己さんが講師を務め、アルコール健康障害対策基本法の概要や課題を解説した。多重依存の問題に触れつつ、「(各依存症とも)貧困などの根っこに抱える問題を解決しないと、努力だけで止めなさいといっても限界がある」と指摘した。
 この日は医師や臨床心理士、保健師、作業療法士、矯正機関職員、福祉関係者に加え、大学生や高校生、支援団体や家族会など、さまざまな立場の約40人が集まった。各職種の人々がつながることで互いの立場や現状、課題を理解し、支え合う場にもなっている。
 半年前から参加している県断酒連合会事務局次長の村吉政秀さんは「今まで交流できなかった人とも情報交換や相談ができ、とても勉強になるし、心強い。MIを学び当事者からの相談も受けやすくなった」と意義を語る。知人の紹介で初めて参加したという保健師の前仲徳子さんは「健康指導をしても貧困問題にぶつかり『どうしたらいいのか』と無力感を覚える。何か答えを見つけたいと参加した」と話した。
 ANDOGの問い合わせは、事務局(琉球ガイア)(電話)098(831)2174まで。