隣りの人支える社会に 安田さん(いずみ苑苑長)半生記出版


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半生をまとめた初の著書を出版した安田未知子さん=千代田区のWAVE出版

 【東京】うるま市の介護老人保健施設いずみ苑苑長の安田未知子さん(83)がこのほど、初めての著書「引きうける生き方―誰かのために手を差しのべるということ」(WAVE出版、税抜き1400円)を出版した。

自身の5人の子を育てながら、教師として出会った43人の不遇な子どもたちに手を差し伸べるなど、人の役に立つ生き方を模索してきた。
 安田さんは「人のために生きろという両親の教えが私の指針となってきた。みんなが自分の隣の人を支える社会であってほしい」と話した。
 安田さんは東京生まれ。8歳で両親と沖縄に渡り、県立第一高等女学校の生徒として沖縄戦に巻き込まれた。戦後は教師となり、親がいない子や戸籍もない子らを家に招いて育てた。
 その間、10歳の愛娘を病で亡くし、自身もリウマチやがんにかかり、8カ月失明状態に陥ったこともあるという。その際は沖縄の薬草を研究し、健康を取り戻した。苑長の傍ら、知的障がいのある人のための運動競技大会スペシャル・オリンピックス沖縄支部の会長などを務める。
 著書では自らの半生を振り返り「志情(しなさけ)(愛)のある世の中なら人は生きられる」と説く。そんな安田さんが「最近、眠れない時がある」と言う。「政治が数の暴力で次々と戦争へ向かう法律を通していく」と嘆き「戦争では力のない子どもが犠牲になる。二度と起こしてはいけない」と力説した。