古代船 与那国中生手作り ヒメガマ材料に 冒険家の石川氏指導


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 【与那国】古代の船を作って、乗って、遊んで、学ぶをテーマにしたワークショップ、アシ船学校(与那国いとなみネットワーク主催、与那国町教育委員会共催、資生堂協賛)が7月29日から8月7日まで、与那国島で開催された。

 ペルーでアシ船作りを習得し、アシ船での航海実験に挑む冒険家の講師の石川仁さんを講師に招いた。7月29日には「太古の船で海を渡る」をテーマに、祖納集落の古民家で講演会が行われた。
 国連プロジェクトでの航海実験の話題、チリからポリネシアまで8千キロをアシ船で航海した体験談など、来場者は冒険の世界へ引き込まれた。
 翌30日は船の材料となるヒメガマ(ガマ科)を樽舞湿原で刈り取った。ヒメガマは天日で十分に乾燥させ、8月6日に久部良のナーマ浜で船作りを開始した。
 石川さんの手ほどきを受けながら、参加者らが直径30センチほどの束を連ねて、さらに大きな束を作っていく。「これで本当に船ができるの?」と最初は半信半疑だった参加者たちも、次第に船の形ができてくると、高まる気持ちが押さえきれない様子。夕方に長さ4・5メートル、幅1メートル、高さ60センチの船が完成し、大きな歓声が上がった。
 ヒメガマの船は「琉神丸」と命名。子どもたちが思い思いにメッセージを書き込んだ帆の中心に三ッ岩森之君(与那国中3年)がその名を記した。
 崎原用能町教育長が進水式を行った後、琉神丸に中学生らが乗り込み、与那国の海へとこぎだした。
 男子中学生が5人乗っても浮力は十分にあり、150艘(そう)のアシ船を作ってきた石川さんは「ヒメガマで作るのは初めてだが、船の素材として極めて優れていることがわかった。豊富に自生する与那国島ならば、より大きな船を作ることもできる」と特徴と成果を強調した。体験乗船には、約80人が参加。自然と人と船の一体感を楽しんだ。(山本友紀通信員)

ヒメガマの束をロープで組んでいく参加者=6日、ナーマ浜
乗船する中学生=7日、ナーマ浜