【ブラジル】街に息づくオキナワ カンポグランデ入植100年


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 【ブラジル=梅田正覚】ブラジル南西部にある南マットグロッソ州の州都カンポグランデ市に県出身者が入植してことしで100周年。14日(日本時間15日)、同市のカンポグランデ県人会館で「カンポグランデ沖縄移民入植100周年記念式典」が開催され、ブラジル国内のほか、母県・沖縄や近隣諸国の県人会関係者ら約500人(主催者発表)が集まった。式典と祝賀会が催され、100年前にこの地に入り、県系人社会を築き上げつつ、市の発展に尽くした祖先に感謝をささげた。

 1908年、移民船「笠戸丸」で781人の日系人がブラジルへ渡った。このうち325人の県出身者がコーヒー栽培に従事した後、各地に移住した。その中でサンパウロからの鉄道敷設工事に多くが参加し、重労働やマラリアなどで次々に犠牲者を出したが、原生林を切り開いて約1100キロ離れたカンポグランデに定住した。
 100年を経た今、街のあちこちに沖縄の文化が息づく。
 公設市場前には「沖縄そば」のモニュメントが象徴的に立つ。市場内には28店のそば屋が店を構え、連日多くの地元客でにぎわいを見せる。そばは2006年に市の文化遺産に登録され、毎年「SOBA・フェスティバル」が開催されている。
 県人会活動も活発だ。舞踊やエイサーなど伝統文化の熱も高い。約50人のメンバーがいるエイサーサークル「かりゆし」のリーダー、タカオカ・ラファエルさん(21)は「沖縄というこのポジティブなエネルギーをブラジルにも伝えていきたい」と強調した。
 先人たちが伝えた文化やアイデンティティーは、この地で息づいている。

カンポグランデ市の名物の沖縄そばに舌鼓を打つ県人会関係者=13日(日本時間14日)、カンポグランデ市のフェイラ
県系人が鉄道敷設工事に従事し、カンポグランデに入植するきっかけとなったノロエステ鉄道=13日(日本時間14日)、カンポグランデ
カンポグランデ県人会のメンバーが活動するエイサー団体=14日(日本時間15日)、カンポグランデ県人会館
ブラジル・カンポグランデの住民に愛される沖縄そばのモニュメント=14日(日本時間15日)、カンポグランデ市の公設市場前