日台水域で52隻操業 4~7月 トラブル避け自粛も


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6分割された各水域における延べ操業隻数

 県漁業協同組合連合会(国吉真孝会長)は18日までに、日台漁業取り決め(協定)の適用水域における4~7月の操業実態をまとめた。同水域での操業の具体的数値が明らかになったのは初めて。

県内5漁協に所属する延べ52隻が操業し、漁獲量はマグロやソデイカなど7万1699キロだった。適用水域の大部分で操業していた。一方で台湾船とのトラブルを避け「操業を自粛した」と回答した漁協もあり、来期以降、操業隻数はさらに増える可能性がある。来年以降の日本の漁法適用水域の拡大に向けて、操業ルールをめぐる協議で交渉の鍵を握ることになりそうだ。
 調査結果は、18日に那覇市内で開かれた第6回県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会で報告した。4~7月に水域内外で発生したはえ縄の絡みや漁具の切断など台湾漁船による漁具被害5件の報告もあった。
 来年以降の操業ルールについては、9月にも県内で台湾漁業者と意見交換会を開き交渉を始める。年末には沖台漁業者会合を開き、最終的に来年1月の政府間協議「日台漁業委員会」で合意する見通しだ。
 適用水域を6分割して実施した操業実態調査は、県漁連と県が6月から開始し、8月15日までに県内全36漁協がアンケートに回答した。
 操業した延べ隻数は、日台が1月に操業ルールを合意した水域のうち、久米島西側の特別協力水域の北側は6水域の中で最も多い34隻だった。その他の水域でも尖閣諸島・魚釣島北方の水域を除く各水域で10隻前後が操業した。魚種はマグロやソデイカなどで、漁法は集魚灯漁業が9割以上を占めた。
 漁船が所属するのは、八重山、久米島、糸満、読谷、那覇地区の5漁協。漁獲量は糸満が3万1136キロと最も多く、八重山が1万9652キロ、久米島が1万4379キロと続いた。
 国吉会長は「初めて適用水域での成果が出た。各漁協からの苦情や要望を聞き、今度どのように反映していくか台湾側との会合までに決める。交渉では日本の漁法を適用する水域の拡大などルールの見直しを求めていく」と話した。