学童疎開の話に涙 南風原の児童、追体験を報告


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学童疎開を追体験した交流事業の成果を報告する12人の児童=9日、南風原文化センター

 【南風原】学童疎開から70年の節目に疎開地を訪れた「第20回南風原町子ども平和学習交流事業」の報告会が9日、南風原文化センターで開かれた。参加児童12人が対馬丸の犠牲者を追悼した海上慰霊祭、熊本や宮崎での交流の様子を振り返った。学童疎開の追体験を多くの人に伝えたい、もっと沖縄戦について学びたいという感想があった。

 平和学習交流事業は8月20日から5日間の日程で、町内4小学校の6年生と、1944年に熊本、宮崎へ疎開した体験者6人が参加した。
 児童らは宮崎の「南風原学童疎開記念の碑」や疎開先の当時の国民学校を訪れ、地元関係者と交流を深めた。
 翔南小の日野命子さんは20日夜、対馬丸の海上慰霊祭で海底に沈んだ犠牲者に手を合わせたことを報告。「こんなに真っ暗で不気味な海に放り出され犠牲になったのかと悲しくなった」と実感を込めた。
 「親元を離れ、疎開先で寂しい思いをした。沖縄に戻ると親は亡くなっていた」という話を体験者から聞いた南風原小の儀間小凪美さん。「話を聞いて涙が止まらなかった。学んだことを多くの人に伝えたい。沖縄戦のことをもっと知りたいと思った」と語った。
 翔南小の大城美海さんは、24日に訪れた鹿児島の知覧特攻平和会館について語った。敵に突っ込む特攻機は片道分の燃料しかなかったことに触れ「国を誇りに思い、思わされ、悲しみながら出撃したと思う」と犠牲者に思いをはせた。
 南風原町の城間俊安町長は「活字からだけでなく、現地に足を運んで学んだ意義は大きい。報告を聞いて子どもたちの成長ぶりが感じ取れた。経験を糧に大きく羽ばたいてほしい」と期待を込めた。